top of page

おらんだ・ことはじめ「自転車乗りの血」


 オランダ人は自転車に乗って生まれてきて自転車とともに墓に入るといわれるほど、本当に自転車好きである。或いは、好きとか嫌いとかいう次元ではなく、むしろモンゴル平原にすむ騎馬民族と馬の関係にちかく、自転車というものが彼らの生活、文化の根幹の一部となっているといった方が良いかもしれない。  生来の自転車乗りである彼らの性向のひとつが、「Stop and go」を極度に嫌がるというものである。自転車乗りの気持ちになればある程度イメージいただけると思うが、自転車は慣性で走る乗り物ゆえ、一旦止まるとまた一からこぎださなければいけない。自転車で走っている時、前方の信号が赤に変わって「ああ畜生」と思う気持ちは、多くの方にも経験があると思う。  オランダ人は、歩行者として歩いていても、車に乗っていても、この性向がどうしても出てしまうようである。そこそこの車通りがあって、しかもすぐ近くに車が接近しているのに、何の躊躇もなく、歩道を歩いている時と同じスピードで横断歩道に突入してくる歩行者。それが自転車ならその突進のスピードも相当なものなので、車を運転する時には余程注意しなければいけない。こういう突進状態の時は、歩行者も自転車も、全身から「まさかこの俺を止まらせるつもりじゃないよな。」というオーラがムンムンと出ている。中には顔面で車に向かって威嚇するものもいる。郷にいれば郷に従え。こうなっては、参勤交代のお通りよろしく、我々はひれ伏するしかない。  最近の日経で皇居ランナーと歩行者のトラブルが増えていると出ていた。一部の心ないランナーの中には、前をゆく歩行者に対し露骨に舌打ちをする人もいるとか。先の自転車の話し同様、気持ちは分からなくもないが、さすがのオランダでも歩行者がどやされるのは自転車専用道内においてのみである。ランナー専用道でもない限り、やはり歩行者が優先、思いやり、譲り合いが大事なんだろう。万事に通じることと思うが、自分も気をつけねばと思う次第である。


特集記事
後でもう一度お試しください
記事が公開されると、ここに表示されます。
最新記事
アーカイブ
タグから検索
まだタグはありません。
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page