トップガン
自分は、トップガン世代のど真ん中にいながら、この映画を見たことがなかった。オリジナルのトップガンが世に出たのは、自分が高校3年生の時だったと思う。当時は、彼女なんてものはおらず、気軽にロードショーを見に行くような生活環境にもなかったし、また、たまたまなのだろうが、金曜ロードショー等のTV放映でも見る機会もなく、そのままなんとなくこの歳になってしまった。
昨年、マーヴェリックが放映されて、同世代の男性の何人もがSNS等にその感慨をアップしていたが、何しろ自分はオリジナルを見ていないので、見るなら2本セットじゃないとなと思っていた。恐らく見るのは機内になるであろうと思っていたが、やはりその通りで、今回の一時帰国で見ることになった。
原作のトップガン。なるほどいい映画である。トップを競い合う若い男たちのカッコよさ。美しく、仕事も出来る女性。活力と自信に溢れ、一流の中の一流を目指す若者たちの、きらきらした世界。
高校生の頃の自分は、己に対する自信なんてほとんどなかった。あまりにも周りと違い過ぎるし、同世代で一般的な“カッコよさ”の要素を、ほぼ全く持ってなかった。そして、何より自分本人が、自身に違和感を感じていた。別にそれで悔しいとも思わなかったし、情けないとも思わず、ただ、自分ってそんなもんだと、普通に思っていた。
一方で、目指す場所まで必ず辿り着きたい、絶対にそこまで辿り着くのだという思いは、当時から明確に持っていたと思う。多分今も、自分は、そこに辿り着くための進化の途上にいる。自分は、自分という存在の一流であることを目指しているのかもしれない。
そんな自分が、自分自身にそれなりに納得できるようになってきたのは、漸く45歳を過ぎたあたりからである。しかも、そこで一旦確立したと思っていた自己の自信も、50歳前後の頃に根っこから崩され、基礎工事から全部やり直して、やっとこさの今である。
まぁ、決して簡単なミッションではない。人は、生まれた時から、その人ごとに与えられた人生の主題のようなものがあって、それと向き合い、乗り越えるために生きているのかもしれない。この映画における、マーヴェリックや、グース/ルースター、アイスマンのように。
原作のトップガンもいい映画だが、テーマの深さでも、エンターテイメントとしても、マーヴェリックの方が断然面白かった。人生ここまで来たからこそ、といった感じの深みや醍醐味がある。そう考えると、年を重ねることは、決して悪いことではないのかもしれない。
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