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おらんだ・ことはじめ「ガチョウ天国」

 先週も超忙しかった。火曜日はブラッセルで多数の社外関係者が集まる大会議。水曜夜からの前泊で木曜はミラノ郊外の田舎町でこれまた大会議。金曜日は出張者をつれてオランダ南部のクライアントを訪問。結構気の張るイベントばかりだったので疲れた。  さて、そんなイベントの谷間の水曜昼。つかの間オフィスにいたのだが、出張者が来ててせっかくだからということで、近くの川沿いのレストランに行くことにした。車で10分ちょっとの距離だが、会社の前の牧草地を通る抜け道があるので、そちらを通っていくことにした。道中、いかにもオランダという牧歌的な風景が見られる。食事後、家に忘れ物をとりに帰る必要があったので、僕だけ別の車で行き、出張者と同僚駐在員が乗ったもう一台を先導することになった。  のどかな牧草地を過ぎ、アムステル川に入る三叉路で左折しようとしたところ、道路わきから車道に出ようとしているガチョウの一群が見えた。気をつけて左折しなきゃなと思って曲がろうとすると、道を渡りかけていたガチョウさんたちが一斉に自分の車の左前コーナーからフェンダーミラーあたりに立ちはだかり、運転席横の窓に向かってガーガーガーと猛烈に鳴き始めた。

 最初はエサをくれといっているのかと思ったが、なにやらタダナラヌ雰囲気。どうも彼女たちは怒っているようであった。じりじりと車を前進させようとしたが、一向に彼女たちが立ち去る気配がないので、ついに車から降り、「すいません、こちらに移動してください。」と手をふりふりガチョウを川側に誘導した。  すぐ後ろには、同僚駐在員の車がついてきていたが、車内4人は大爆笑していたらしい。曰く「まるで関西弁のおばちゃんの一群に絡まれてるみたいだった。」とのコメントであった。(この発言について、僕はノーコメントです。はい。)  ガチョウさんたちの抗議の内容は、自分たちが道を渡りきっておらぬのに左折してくるとはケシカランというものだったようである。そういえば、赴任前に読んだオランダ在住の方の手記では、オランダの道路でのエライ順は、①自転車、②歩行者、③ガチョウ、④自動車なのだというのを読んだことがある。確かに、あのガチョウさんたちには、戦えば必ず勝つという絶対的な自信があったように思える。

 うちの家のすぐ前のアムステルパークの入り口にもガチョウ3羽がいて、僕らが他のカモやクイナにえさをやっていると、自分たちによこせと猛烈なデモ行進をしてくる。彼らのことを、僕はひそかに「ガチョウ倶楽部」と呼んでいる。

聞いてないよー!! ヤアッ


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