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オーヴェル・シュル・オワーズ



 4連休のパリ。いろいろ片付けものがあったので、遠出はしなかったが、天気の良かった金曜の午後に、パリ近郊のオーベル・シュル・オーワーズに足を運んでみた。パリの北東約30kmにある街で、車で小一時間ほどで行ける。

 オーヴェルは、オランダ出身の天才画家、ゴッホ終焉の地である。その街に彼が描いた有名な教会があることは認識していたが、彼の死については、自分の中では、それが確かパリ近郊だったというぼんやりした記憶があっただけで、この街とは結び付いてなかった。

 駐車場を探して教会の前を抜けて坂道を上がっていくと、開けた丘の上に出た。平坦な農地の奥へと農道が続いていたので、車を停めて、何となくその奥へと歩いて行ってみた。程なく、農道の十字路にさしかかったが、そこに一つの看板が立てられていた。

 それは、その地が、ゴッホによって「カラスのいる麦畑」が描かれた場所であることを示すものだった。自分は、その絵を、アムスのゴッホ美術館で見た。

 ゴッホは、この絵をかいて暫くしてから、拳銃の弾を胸に受けた怪我が原因で死んだ。当初自殺と見なされ、今でもそれが有力な説であるようだが、なんらかの不慮の事故であったとする説もある。自分は、後者であったのではないかと感じている。

 精神を深く病んでいたゴッホを終生支えたのは、弟のテオであった。彼ら2人のことは、司馬遼太郎の街道をゆくシリーズの「オランダ紀行」の中で、相当な紙面を割いて書かれている。

 ゴッホとテオは、このオーヴェルの地に静かに眠っている。それも、今回初めて知ったことだった。


2021年11月




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