草原のバザールにて
自分は、高校から浪人の頃、大学に入ったら西域をバックパッキングで放浪したいという密かな野望を持っていた。結局は大学の馬術部に入り、4年間365日のほぼ全てを馬の世話に明け暮れ、神戸に居ながらにして馬賊になってしまったため、西域はおろか国内外の殆どどこにも旅に出ずに学生生活を終えることになったのだが・・・。
現在のアルマティは近代的な街だが、かつてはシルクロードの天山北路のオアシスであった。その街のバザールに立った時、自分の中のノマドの血がざわつくのを感じた。残念ながら青空の元でも草原の中でもなく、街中の市場ではあるが、その雑踏、独特の香辛料の匂いに、何か無性に心を掻き立てられるものがあった。いつの日か、本当の草原のバザールに足を踏み入れてみたいと思う。
2013年5月
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