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冬のコンセルトヘボウ in Moscow



 これからの越冬シーズンに向かって、週末には出来るだけ何か一つイベントを入れようかと思っている。舞台ならバレエ、音楽なら管弦楽。美術館にいくのもいい。

 

 最後までどうなるかわからなかった極東出張も結局入らずに、モスクワで過ごす週末。今回は、チャイコフスキーゆかりのモスクワ音楽院、Moscow Tchaikovsky Conservatoryに行ってみた。

 

 なんだか妙なご縁である。管弦楽で日程の会う時にいいものがあったら行ってみようとマークしていて、最初にヒットしたのがコンセルトヘボウ管弦楽団だった。アムステルダムの管弦楽団。向こうにいた頃には、ついに一度も見ることがなかったその楽団の音楽を、モスクワに来て聴くとはなんとも因果なものである。

 

 今、モスクワでは、Nederland-Rusland 2013というイベントに関連する企画ものが幾つか開催されている。これも、そんな企画の一つなのだろう。コンサートホールには、誰か要人も来ているのか、報道陣もいっぱい詰めかけていた。

 

 自分は、アムスに3年いて、そのままモスクワに移ってきた。アムスに着任してまだ家も決まっていないころに、とにかくまずロシアに出張に行けと言われた。その後、一旦ロシアは落ち着いたが、自分のアムス3年目にはまたいろいろあって、半年間に7回出張し、半ば志願するようにして、モスクワの駐在員になった。所属も立場も全然違うが、自分のキャリアパスの上で、アムスとモスクワは二個イチである。

 

 コンサートの前半、音楽を聴きながら、アムス時代に、子供たちの秋休みに行ったドイツの古城ホテルのことを思い出していた。既に肌寒い秋で、霧のような雨が降っていた。ローレライに近いライン川を見下ろせるその城にある部屋から見た風景が、何故かリアルに思い出された。その頃、仕事は、辛いことばかりだった。

 

 休憩の時、ロビーでチャイコフスキーの胸像の横に掲げられたNederland-Rusland 2013のポスターをみかけた。自分の意識の中で、アムス時代とモスクワ時代は、丁度この国旗のデザインのように混濁した状態になっている。

 コンセルトヘボウの演奏はものすごく力強くて圧倒された。コンサートが終わって表に出ると、そこに雪用の迷彩色の制服を着てブーツ姿のガードマンがいて、あぁ、自分はモスクワにいたんだと、不思議な感覚とともに、そうおもった。



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