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イゴール・モイセーエフ ”韃靼人の踊り”
- Sakamoto Koji
- 2015年6月4日
- 読了時間: 2分

ロシアの民族舞踊、モイセーエフの舞台を見てきた。スラブの民の舞踊の、なんと素朴で力強いことか。昨年11月に見たものよりも、今回はさらにずっと良かった。
モイセーエフの舞台の最後は、壮大なクラシック曲(しかもロシアの作曲家のもの)で締めるのが定番のようだ。前回自分が見た「はげ山の一夜(ムソルグスキー)」も良かったが、今回の「韃靼人の踊り(ボロディン)」はさらに良かった。
弓を引き、槍をかざし、バム、バムと舞台を踏みしめ、ありえないほどの跳躍を繰り返す遊牧民の兵士達。それとは対照的に、あくまで艶やかでしなやかな女性たちの踊り。その全ての上に君臨する偉大なる族長。壮大なるスペクタクルが繰り広げられる。
あぁ、自分は、何代か前の前世で、きっとこんな遊牧民として一生を送っていたに違いない。中央アジアに行っても、コーカサスに行っても自分が感じる、そんなえも言われぬ血の滾り(たぎり)を、モスクワにいながらにして感じさせてくれる舞台だった。
一緒にご案内した皆さんにも満足いただけたようでよかった。これから暫く、モスクワは舞台芸術のオフシーズンに入る。いや、舞台は、劇場室内ではなく、青空の下の公園や、ダーチャに移ると言った方がより合っているかもしれない。演者は、麗しき女性達をはじめとする、市井のロシア人たちそのものなのだ。
2015年6月
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