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イギリスのへそ曲がり

イギリスは、実にへそ曲がりな国である。出張に来る度にそう思う。コンセントは3つ穴で使いにくく、ビールの単位はパイントで、車は右ハンドル、通貨はポンド。そしてこの、やたらとでかくて重いコイン達。  出張に来て一番困るのがこのコインである。特に、Tuppence(2ペンス)の無駄なでかさは尋常ではない。  Tuppenceは、映画「メアリー・ポピンズ」の中で、重要な役割を担うアイテムである。コミカルなまでに堅物な銀行家の父とその勤め先の役員たちが、「大英帝国の発展のためにTuppenceを預金せよ。国家に貢献する習慣を身に付けよ。」と子供達に迫るが、子供たちはそのTuppenceは鳥にあげる餌を買うためのものなのだと言い張り、物語は思わぬ方向に展開していく。  このシーンで出てくる“ Feed the birds”は、自分がこの映画の中で一番好きな曲である。大人になって改めて「メアリー・ポピンズ」を見ると、当時とは全く違った感慨がある。  自分がまだ子供だった頃、父が、「見よ。あれが世界なのだ。」と指し示したものの一つが、そのイギリスだった。へそ曲がりで頑固なイギリスは、父そのものと、何故か重なって見えるのである。


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