今更、スケベニンゲン
スケベニンゲンといってもワタシのことではない。 オランダのデン・ハーグの隣にあるビーチリゾートの地名である。Scheveningenと書く。地球の歩き方にはスヘーフェニンゲンとカタカナ表記してあるが、オランダ人の発音はやはりスケベニンゲンに近く聞こえる。強いてもっと忠実に書けばシケェヴェニンゲンか。(シケェヴェという響きは、スケベよりさらにその度合いが強力な気がしなくもない。)どっちにしてもヘンな地名である。いずれかの昔、男子中学生だった男性諸氏なら覚えがあるかもしれないが、南太平洋のナントカ島と併せ、男子が喜ぶ珍地名の双璧である。 雰囲気的にはカリフォルニアのサンタモニカやレドンドビーチに若干近い。ただし、一年の殆どが曇天か雨天でうすら寒いオランダなので、ビーチリゾートとしての本領を発揮できるのは、年に何日かしかないと思うが。 10月初日のこの日曜日は、年に何回かのそんな天啓的な好天日であった。先週中旬からベネルクス地方は異常な陽気である。僕自身はずっと出張で、家に帰ったのは土曜の夕方。残された日曜、こんなに晴れているのにどこにも行かない手はないということで、レジャーシートと弁当と子供の水着を持って家族でスケベニンゲンに行ったわけである。 ここ数日同様、気温は25度超で空は快晴。今年の7、8月の殆どが曇天雨天で気温もずっと15度だったし、最近はもう紅葉も随分進んでいて先々週ぐらいは薄手のコートを羽織った女性もちらほらと見かけるようになっていたことを思えば、異常な事態である。 しかし、一旦好天になるとそれが何月かなんて関係なく太陽の恵みを存分に身体全体で受け止めるというのが、天候に恵まれないオランダの人々の性である。それが週末だったりすると、それはもう「ニイタカヤマノボレ」の打電を受けた戦闘機団の如く、人も犬も一斉に表へと繰り出すのである。 案の定、スケベニンゲンはものすごい人の数だった。みんな水着で日光浴をして、まるっきり夏そのものの光景だった。海の大好きなうちの子供達も大喜びだった。もっとも、水は冷たく、それほど綺麗なわけでもないので、せいぜい膝上まで浸かって水遊びをする程度だが。 秋分も過ぎてもうすっかり日も短くなってきている。この季節外れの熱波が去れば、季節は一気に晩秋である。