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日本は小さな国か?

 ヨーロッパ地図の上に日本地図を重ねて見たらどんなサイズ比較になるんだろうとの疑問をずっと持っていたが、そのものずばりの地図にお目にかかれた。当地の日本人学校の先生と生徒が自作した「わたしたちのオランダ」みたいな資料集に載っていた。

 これを見て改めて思ったが、日本列島というのは案外大きなものである。細長いぶん面積は多少小さくなるが、逆に距離的な広がりは大きく(その長さは実にオランダからポルトガルまでをカバーする)、それだけ気候的にも風俗的にも多様性に富んでいるということであり、決して小さな国とは言えない。

 西ヨーロッパ諸国で比べると、フランス、スペインが日本より頭ひとつ分大きいが、ドイツ、イタリアとはほぼ同格で、イギリスは日本より一回り小さい。極東、東南アジアで見ても、別格的に大きい中国、インドネシア、頭ひとつ大きいタイ、ミャンマーを除けば、それ以外は皆日本より小さい。要は、古代から人がある程度密集して住んでいる地域としては、日本国は中堅集団上位の大きさの国ということである。  アメリカ、カナダ、ブラジル、ロシア、オーストラリア、中国、インドといった国が、むしろ「例外的に大きい」と考えるほうが妥当だろう。前者5カ国は、もともと人の居住が粗放だったところを植民化して広大な領域を持った国なので、そもそもの国土の成り立ちが上述のヨーロッパ、極東、東南アジアの国々とは全く違う。  中国、インドは、いずれも古代文明発祥の地でもあり昔から人が多く住んでいるが、歴史的には現在の国土がひとかたまりの国家でなかった時代のほうがむしろ長かったから、その国の歴史上、現在の国土が例外的に大きいという見方も出来るかもしれない。構成民族でみても、この2カ国は相当多数を束ねた国である。 「国家には適正なサイズがあります。フランスもイギリスも日本も適正でしたが、中国は大きすぎる。日本人はその苦しみをわかってあげなくてはなりません。」  週刊朝日別冊「司馬遼太郎が語る日本」に書かれていた一文である。たぶんきっとそうなんだろう。


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